第22回病態栄養学会で発表しました
ライフスタイル改善プログラム『SILE』を導入している病院の
導入時の工夫や導入後のメリット等をまとめました
生活習慣病の発症・重症化予防の効果を実証できたライフスタイル改善プログラム『SILE』* は診療所での活
用が拡大しつつありますが、病院では組織が大きいためか、導入に際してなかなか難しいという声も聞かれます。
しかし、一方で、すでに組織の中でSILEプログラムを円滑に運営してくださっている病院も出て来ています。
本発表では病床数に多少に関係なく、管理栄養士が外来栄養食事指導を計画的、継続的に運営しようという意思
を持って積極的に他部署との連携を図り、栄養相談件数を増加させていたということをお伝えできました。ご協力
いただいた病院の管理栄養士の皆様のおかげです。ありがとうございました。
発表後には座長から「SILEプログラムを運営するためには体制づくりが重要だということですね。これか
らも病院でもSILEプログラムをどんどん拡大して行ってください。」と心強い励ましをいただきました。
管理栄養士による栄養相談の成果を主治医が実感できると栄養相談件数が増加する、ということもよく
ご理解いただくことができました。「管理栄養士が自ら働きかける」-重要なポイントだと思います。
1度きりの栄養相談で減量や血液検査値の改善ができても、主治医が目指す治療目標や将来の健康リスクを軽
減するまでには至らない場合がほとんどであることを保健従事者は十分実感しています。また、継続的に栄養相談
を実施している場合でも、一定期間を区切らず、対象者がどこまで何ができているかを評価しないまま栄養相談を
行うことは対象者にとっても見通しが立たず、モチベーションが下がってしまうことも懸念されます。
SILEプログラムはこれらを解決し、さらに、対象者にとって生活習慣病の発症・重症化予防に最も効果的な取り
組みを見極めることができる手順と方法です。SILEプログラムを導入・運営できる組織が1つでも増えるよ
う、本発表を参考にしていただけたら幸いです。
* SILE, Structured Individual Lifestyle Education program
Adachi M, Yamaoka K, Watanabe M, Nishikawa M, Kobayashi I, Hida E, Tango T. Effects of lifestyle
education program for type 2 diabetes patients in clinics: a cluster randomized controlled trial.
BMC Public Health 2013; 13: 467.
【今回の発表】
2型糖尿病のライフスタイル改善プログラム『SILE』の病院外来栄養食事指導への運用・定着のための検討
安達 美佐,中田 恵津子
【 第21回での発表】
日本人を対象としたRCT(無作為割付比較試験)に基づく2型糖尿病の重症化やメタボリックシンドローム
からの生活習慣病発症のリスク軽減効果を検証して来ましたが、この発表ではこれらの研究から得られた
エビデンスに基づき、特に効果に繋がったと思われる教育内容の要について発表しました。
糖尿病をはじめとする生活習慣病の発症・重症化予防のための効果的な教育方法とは?
中田 恵津子,安達 美佐



SILEプログラムの手順や内容をまとめた書籍です
『ライフスタイル改善の成果を導くエンパワーメントアプローチ
-メタボリック症候群と糖尿病の事例をもとに-』
安達美佐・山岡和枝・渡辺満利子・渡邊純子・丹後俊郎 著
朝倉書店 3,240円(税込)
おかげ様で重版決定!
*教育媒体やアセスメント票等はCDROMで頒布しています